2008-02-28(Thu)

『死神の精度』

伊坂幸太郎さんの文庫新作が出ていたので、買ってきました。「千葉」というコードネームの死神が主人公の短編集です。
相変わらず、伏線の張り方がうまいですねぇ。ひとつのエピソードの中だけにとどまらず、あるエピソードに登場した人物が、後のエピソードの仕事相手になったりもしています。それから、『重力ピエロ』に出てきた「あの人」が、死神とちょっと会話をするシーンもあります。
吹雪で密室状態になった館の中での殺人事件という、本格ミステリなシチュエーションのエピソードもあるんですが、死神がかかわると、こうなるのかー、という、ユニークなオチでした。
このシリーズ、もっと読みたいなぁ。

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

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2008-02-21(Thu)

『てるてるあした』

大好きだった『ささら さや』の続編が、やっと文庫になりました。ドラマでしていた時は、まだこっちを読んでいなくて、見たいんだけど、小説を読むより先にあらすじがわかっちゃうし…と悩んで、とびとびにドラマを見たりしていました。なので、ラストはちょっとわかってたんですが、やっぱり小説はいいですねぇ。
『ささら さや』と同じく、ちょっと不思議な事が起きるささら市で、前作に引き続き、さやと三婆、エリカさん達が登場します。ユウ坊やダイヤ君も、ちょっと成長しています。
加納さんらしい、ほわんと優しい作風なんだけど、テーマがちょっと重たい。けど、加納さんだからこそ、重くなりすぎずに、泣ける作品になっているんでしょうねぇ。
主人公の母親は、大好きだった自分のあだ名を自分の娘の名前にしていることから、娘を愛したかったんだと思います。でも、自分が愛されなかったから、どうやって娘を愛したらいいかわからなかったんですねぇ。こういうのが虐待の連鎖っていうんでしょうか。
てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)
(2008/02)
加納 朋子

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ささらさや (幻冬舎文庫)ささらさや (幻冬舎文庫)
(2004/04)
加納 朋子

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2008-02-05(Tue)

『アヒルと鴨のコインロッカー』

大学進学の為に一人暮らしを始める「僕」が、入居早々、隣に住む青年に、いきなり本屋襲撃に誘われる所から、物語は始まります。
その後、「僕」(椎名)視点のエピソードと、2年前の「琴美」視点のエピソードが交互に進んで行きます。
最初は、あとがきにも書かれているように、村上春樹さんの『本屋再襲撃』っぽい展開だなぁ、と思い、少し進むと、ある出来事から、アーヴィングの『熊を放つ』っぽい?とも感じましたが、終盤になり、ばらばらに思えたそれぞれのエピソードも、だんだんと接点が増えてきて、一気に繋がった辺りから、泣けてきてしまいました。かなりスピード感のある小説なのに、読者を置いていってしまったりしない所に、かなり練られているなぁ、という感じがします。後、伏線の張り方もうまいですねぇ。伊坂さんの小説は初めて読んだんですが、好きになってしまいました。
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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2008-01-13(Sun)

『かもめ食堂』

またDVDを借りました。
特にドラマチックな展開がある訳ではなく、ただ淡々とした日常に、和むというか癒されるというか。そして、時々、ふっと笑わされたり。映画のストーリーも出てくる食べ物やその他、あらゆる物がスロウです。
主な舞台となる「かもめ食堂」は、小さくて清潔で、すごく可愛らしいです。水色の壁や木製のテーブルと椅子、白い食器にうっとりします。あと、食堂で出される食べ物がとっても美味しそう。それも、ただ美味しそうなだけじゃなく、正しい食事、という感じがします。食べると、正しく体に吸収されて、生命になる、という感じ。こういう、正しい食べ物は、多分国境を越えるんでしょうねぇ。
小林聡美さんの動作もすごく綺麗でした。食事を作ったり、テーブルを拭いたりという動き方が、きちっとしていて、清潔そうで、「かもめ食堂」の雰囲気にぴったりと合っていました。
これを観るとお腹が空いてしまうので、食後に観るのがおすすめです(笑)
かもめ食堂かもめ食堂
(2006/09/27)
小林聡美、片桐はいり 他

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2008-01-06(Sun)

『式日』

年末にDVDを借りて観ました。主演が藤谷文子と岩井俊二で、藤谷文子の原作を元に、庵野秀明が監督と脚本を手がけています。
仕事に行き詰まって、故郷に帰ったカントクは、ずっと「明日が誕生日」と言う不思議な「彼女」に出会い、彼女と行動を共にするようになります。やがてカントクは、ありのままの彼女をカメラで撮り始めますが、それも中断してしまいます。最後は、彼女の傷の原因となっていた母親と再会を果たし、止まっていた彼女の時間が動き始めます。
とにかく、まず、色と構図が綺麗。アイテムの使い方も凝っています。秘密の地下室で、花のように広げられた真っ赤な傘たちとか、赤い祭壇に祭られた青いギターと青い蝋燭の対比とか、とても綺麗でした。
「現実がフィルムに切り取られると虚構になる」というのも、この作品のひとつのテーマになっていると思います。その為、演技らしい演技と、素である演技の境界が曖昧になっている部分があり、ふっとバランスを崩したような感じにさせられたりしました。岩井俊二監督が少女にひかれるのがまた、非常にリアルというかナチュラルというか。
そして、この作品の最大のテーマが、病んだ少女。みんな病んだ家族の中で、一番病んでいる彼女は、毎日奇妙な儀式を繰り返すことで自分を保っていますが、それはとても脆いもので、いつかは現実に戻らなくてはいけません。その現実は死であるか母親との再会であるか、ですが、結局カントクの介入もあり、母親との再会になります。毎日を日付ではなく、曜日でしか数えられなかった彼女が、「私の誕生日は12月7日です」と言い、開けられることのなかったカーテンが開けられます。
元々、Coccoの『Raining』は好きなんですが、ただ「過去形」の歌として聴いていました。が、このようなラストを経た後、空を流れる雲の映像と共に聴く『Raining』は、今まで聴いていた印象と違って、とても希望に溢れた感じがして、ちょっと驚きました。
多分、彼女かカントクかどちらかに感情移入出来ないと、全く受け付けない映画なんじゃないかと思います。私は好きなので、もっと評価されても良かったのに、と思いましたが…。
式日式日
(2003/07/24)
岩井俊二、藤谷文子 他

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